冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

(はい、あなたは……?)

どうも、直接頭の中に語りかけられているようだが、女神などと話した後だと左程違和感もなく、すんなりと受け入れられた。

(私は特別な呼び名を授かっておりません。それよりも、月の女神と……ちゃんと話し合うことはできましたか?)
(なんとか。あなたは……リルルのお母さんですか?)
(いいえ。それよりももっと遠い祖先です。私もずいぶんと長い時を生きていますから、伝説の元となった月の聖女を見たこともあるのですよ。彼女は女神に会った後、ずいぶん勝手なことを言うと怒っていたものですが、あなたはまた違うようですね……ふふふ)
(……はっきりとした方だったんですね。私は受け答えするので一杯一杯でした)

 気の抜けたようなセシリーに、大狼は言った。

(別に……あなたがひとりでその身に責任を負わずともいいのですよ。嫌であれば、逃げ出しても構わない)
(でも……皆が)