「セシリーたちの身柄を確認したら……もしガレイタムの王都に行くことになったら、その時に話す」
「……必ずですよ」

 今は疑問を飲み込むと、ラケルは馬を操ることに集中する。ぽつぽつと降り出した雨から魔法で己と馬を覆う。

 彼の胸にはキースから以前貰った連絡用の金属板がある。もし入れ違いになるような事があれば彼が一報をくれるはず。何事も無く戻ってきたセシリーたちの声を聞き、早とちりだったと胸を撫で下ろす、そんな展開を願いつつも……そうはならないという確たる予感が何故か胸の中にはあった。

 少なくとも、隣を走るリュアンの横顔は、そう語っていた。