冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

「――待ってください!」

 リュアンがこちらに歩み出そうとした時、ラケルは扉を大きく開いて室内に飛び込んだ。話に夢中で気付かなかったふたりは揃って苦虫を噛み潰したような顔をする。

「僕も……一緒に行かせてください。セシリーが心配なんです。それに……リルルだって向こうにいる」
「し、しかし……お前は今回の件には無関係で……」
「あなたもどうせ止めても聞かないんでしょう……いいですよ。しかし条件が有ります……」
「キース!?」

 口ごもるリュアンに対し、キースはふたつ返事で頷く。

「向こうの国で起きたことは一切他言無用。そして、向こうでは徹底して団長の指示に従うこと。このふたつをきっちり守れますか?」
「はい、厳守します!」
「だが、キース……」
「この際です、いい加減あなたの事情を知る協力者を少しでも増やした方がいい。彼なら口も堅いし、力量も十分に有ります。きっと、助けになってくれるはずですよ」