「では、その彼女があなたが探していた……鍵となる人物かも知れないと?」
「ああ」
「ですが、今言ったではありませんか。彼女は自衛のために魔法を使う様子も無かったと」
「まあな。だが俺が見た時、あの娘の瞳ははっきり銀色に輝いていた」

 去り際にリュアンは確かに見ていた。あのセシリーとかいう娘の瞳の奥が、魔力の光で強く瞬いたのを。

「銀の瞳ねえ……」

 それを伝えられたキースは目を細め、口元に手を当てる。

 魔法を扱う者として、最も特徴が出やすいのは瞳孔だ。通常黒いはずのその色素は魔法を使うたび、魔力の影響を受けて変化してゆく。よってキースのものは藍に近い色合いだし、リュアンのそれも紫紺色である。しかし銀となると話は変わってくる。

「あなたのことですから、見間違いということも有り得ませんか。きちんと調べてみる必要はありそうですがね」
「ああ、近頃魔物たちの活性化も進んでいる。もうあまり、時間は残されていないからな……」