(こういうことできる人だったっけ……?)

 顔の横をくすぐった細い指はすぐに離れ、彼は満足した様子で微笑する。

「うん。なんとなくお前はその方がしっくりくるよ」
「あ……ありがとうございますっ!!」
「……別にこれくらいはやってやるさ。早く帰ってこい。お前がいないと、皆調子が出ないみたいだからな」

 照れた様子で顔を背けたリュアン。今まで必要以上の接触を避けてきた彼が、こうして歩み寄ってくれたことと、母の思い出がこうして帰ってきたことの二重の嬉しさに、感極まったセシリーは勢いよく抱き着く。

 リュアンは困った様子でそんなセシリーの頭に手をやろうとしたが、そこで黙っていられないというようにラケルが割り込む。

「な、直したのは団長だけど、部品をあそこから見つけてきたのはリルルと僕だから!」
「本当? ラケルもありがとう、またリルルにもお礼しないとね!」