冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

「セシリーさん、先日はどうも。丁度お父上とあなたに関わるお話をしていたところです。彼女も同席していただいて構いませんね、オーギュスト氏?」
「……座りなさい、セシリー」

 セシリーは促されるまま、苦々しい顔をしたオーギュストの隣に腰を下ろす。このところ、父の笑顔は一向に見られず、心配は募るばかりだ。

「父と、何の話をしていたんです?」
「では最初からお話ししましょう。おふたりとも、この国と隣国に伝わる古き伝承……『月と太陽の聖女』という逸話はご存じですね?」

 当たり前のようにセシリーは小さく頷き、子どもでも知らないものはいない有名な伝承が、自然とその頭の中に思い浮かぶ。