(待っていろよリュアン・ヴェルナー。セシリーと共にじっくり料理してやる……!)

 ――剣だの魔法だのがちょっとばかし使えるくらいの凡才が、生粋の公爵家の血を継いだ自分に楯突くなど、どれほど愚かなことなのかを骨の髄まで思い知らせてやる……。

 そんな思いでマイルズはワインを注いだグラスにリュアンの姿を思い浮かべると、それを夜空に掲げ……。

「これが、いつかのお前の姿だ! アハハ、アハハハハハッ――!」

 勢いよく窓の外の地面に思いきり叩きつけた。血だまりのように広がった染みは彼を愉快な気分にさせ……ずいぶんと長い間、その哄笑はやまなかった。