「セシリーさん、心配してますよ。万一これ以上怪我が長引いたら大変でしょう。早く彼女に元気な姿を見せてあげなくてはね」
「……わかっている」
「ご自愛お願いしますよ。それと……すみませんでしたね」
「ん?」

 むくれたリュアンの目の前に立つと、キースは神妙な表情で頭を深く下げた。

「セシリーさんから話は聞きました。魔法を封じられたあなたが、自分が傷つけられることも(いと)わず、彼女のために捕まったことや、周りの全てを破壊しようとするセシリーさんの魔力の暴走を鎮めたことも。あの時……あなたに言ってしまったことは撤回させてください。部下として、不遜な口を叩いた罰は、如何様なものでも受けます」
「……ふん」

 『弱いままでいようとするあなたを、私はもう団長とは認められない』――あの時キースが口にした言葉はリュアンに強いショックを与えた。悔しい気持ちももちろんまだ燻っている……。

 だが、彼は間違ったことは言っていない。あくまでセシリーを危険に遭わせたのは自分の未熟さと心の弱さだ。結果として、無事誘拐の犯人たちを捕らえることができたとしても、それだけは重く受け止めないといけない。