「ラケル! リュアン様が私のせいで襲われて……!」
「うん、ひどいな。でもごめん。僕治癒の魔法は使えないから、急いで外へ運ばなきゃ。キースさんに連絡して、騎士団の人たちも来てくれてるから大丈夫。出てきた悪党どもも全部捕まえたしね。崩れると危ないからここを早く出よう……っと」

 セシリーに手を延ばそうとしたラケルは何故か真っ赤になると、目を背けた。

「君も怪我……してるね。ごめん、取りあえずこれ」

 彼は薬を手渡し、自分の羽織っていた外套(がいとう)でセシリーの体を包む。そこで自分の服が少々大胆なことになっていたことに気付いたセシリーは、頬を染めて苦笑しながら礼を言う。

 ラケルは、セシリーをリルルの背中の上に担ぎ上げ、リュアンを背負う頃には、少しずつ天井から落ちる石くれの数が増し、大きなものになっていた。

「さあ、帰ろう。皆が待ってる」
「……うん!」