「ま、待て……牢屋を開けてくれ! 助けてくれよぉ! お前ら、仲間じゃなかったのかよぉ――!!」

 用心のためか再び鍵が掛けられた牢屋の中、閉じ込められた軽薄男は柵を叩きながら泣き叫んだが、それも崩落の轟音に掻き消され、すぐに聞こえなくなる。

(何なのよこれ! どうしたら……止まって、止まってよ!)

 このままでは、リュアンと一緒に生き埋めになってしまう。肩を抱いて蹲りながら、セシリーは必死に暴走を抑えようと祈る。彼だけは仲間の元へ返してあげたい。守りたいと、そう強く願った結果が皮肉にも危機を招いてしまうなんて……いったい、自分のどこに今までこんなものが眠っていたのか、まるでわからない。

(怖い……怖いよ!)

 自分が保てなくなりそうな恐怖に、セシリーの気持ちが飲み込まれてしまいそうになった時だった。

「……落ち着くんだ」

 身体を優しい体温が包んで、その恐怖が和らぐ。