冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

 きっとこんなことが世の中にはありふれていて……男たちの笑いは、お前の考えが甘いのだ、人など信じるに値しないと謗られているようで、セシリーは苦しい胸をぐっと押さえ、かぶりを振った。

(やだよ……そんなの!)

 セシリーは、皆を信じていたい。父と亡き母やエイラ、リュアンを始めとした騎士団の皆、商会で働く人たちや、ティシエルのような友人たち……他にも沢山の人たちと手を繋いで、助け合いながら進んで行きたい。俯いて、誰かが伸ばしてくれた手から背を向けたり、これ幸いと影の中に引き込むようにはなりたくはない……!

「――おお、上手くいったみてえだな」

 頭目が後ろに目をやり、奥の暗闇から二度目の足音と共に、重いものを引きずる音がしてくる。

「へへ。そのお嬢ちゃんの名前を出したら大人しく捕まってくれやしたぜ。ほら、お仲間の御到着だ」

 牢が開き、蹴り入れられた何かがどさりと地面に転がるのに思わずセシリーは身構えたが、おそるおそる姿を確認すると驚きの余り目を見開き、その人物を膝の上に抱え起こす。