軽薄男の赤らんだ目がこちらに向き、セシリーはぞっとして体を抱える。だが頭目は彼を制止した。
「それも悪くねえが、取引相手は貴族って話だ。つまらんことで機嫌を損ねて支払いを渋られんのもつまらねえだろう。嬢ちゃんに何かして、野郎の方が破れかぶれになっちまっても敵わんしな。魔法は封じたとはいえ……そうなったら誰がお偉い魔法騎士様のお相手を務めんだ? お前か?」
「いやいや、頭の言う通りっす。……ひひ、嬢ちゃんよかったなぁ」
元からこちらを脅かそうとしていただけなのか、軽薄男はすんなりと頭目の言葉に引き下がる。しかしセシリーの心は休まらない。
(どうして、こんな目に遭わなきゃいけないの)
セシリーはただ、人生を楽しく過ごしていたい、それだけなのだ。
大切な人たちと言葉を交わし、肩を支え合って一生懸命生きていきたい。時には角突き合わすこともあるけれど、でも出来る限り互いを尊重して理解しようと努力したい。なのに……彼らから感じられるのはセシリーの考えとは相いれない、他者の好意を否定しあわよくば自らの快楽の為に利用しようという、どこまでいっても満たされない欲望のみだ。
「それも悪くねえが、取引相手は貴族って話だ。つまらんことで機嫌を損ねて支払いを渋られんのもつまらねえだろう。嬢ちゃんに何かして、野郎の方が破れかぶれになっちまっても敵わんしな。魔法は封じたとはいえ……そうなったら誰がお偉い魔法騎士様のお相手を務めんだ? お前か?」
「いやいや、頭の言う通りっす。……ひひ、嬢ちゃんよかったなぁ」
元からこちらを脅かそうとしていただけなのか、軽薄男はすんなりと頭目の言葉に引き下がる。しかしセシリーの心は休まらない。
(どうして、こんな目に遭わなきゃいけないの)
セシリーはただ、人生を楽しく過ごしていたい、それだけなのだ。
大切な人たちと言葉を交わし、肩を支え合って一生懸命生きていきたい。時には角突き合わすこともあるけれど、でも出来る限り互いを尊重して理解しようと努力したい。なのに……彼らから感じられるのはセシリーの考えとは相いれない、他者の好意を否定しあわよくば自らの快楽の為に利用しようという、どこまでいっても満たされない欲望のみだ。



