オーギュストたちに遅れて部屋に集まって来たのは、いつの間にか本部に戻って来ていたキースやラケルを始めとした、数人の騎士たちだ。

 彼は未だ怒りの収まらないオーギュストに深く頭を下げ、今後の対応を告げる。

「申し訳ありませんオーギュスト氏……我々の不手際です。すぐに我らも総動員して町中を捜索しますから――」
「もういい……! 娘は私の商会の手の者で行方を捜させる。あなたたちの手は頼らない」

 手掛かりを得られなかったことに落胆すると、オーギュストは年齢に似合わずきびきびとした動きで団員をすり抜け去っていった。以前の余裕の欠片も見られない、まるで人が変わったかのような一面からは、余程娘を大事に思っていることが窺えた。

 それを見送った後、ぐっと眼を瞑り、大きな声で謝罪したのはラケルだ。

「すみませんっ! 僕がオーギュストさんに知らせたんです。後を追ったけどどうしても見つけられなくて、家に帰っているかも知れないって一度お邪魔したら……まだだって。僕がもっと早く追いかけて、捕まえていれば……!」
「それは今言っても仕方ありません。彼女がここを出てまだ数時間。自分の意志で行動しているにしても、もし誰かに連れて行かれたのだとしても、そう遠くには行けないはずだ。皆、捜索に力を貸してくれますか」