そして突き放すと、苛立った様子でその場を後にする。

「……団長。僕、セシリーの後を追ってみます。あのままだと心配ですし……」

 悲しそうな顔をしたラケルもまた、そう一声かけ、うなだれている彼を残し走っていった。

 リュアンはその場にどっと座り込むと、膝の間に顔を埋める。
 セシリーがどんな顔をして去って行ったかは見なくても、声でわかっていた。
 
 過去の記憶が甦ることを恐れていたとしても……仲間として、団長として自分を認めてくれていた女の子を傷つけた。取り繕うことすらせず拒み、泣かせた。

「お前の言う通りだ……キース」

 こんな自分勝手で弱い人間などに、人の上に立つ資格など無かったとリュアンは実感する。今まで辛いときに支えてくれた団長となるまでの実績や、努力の過程も……ここへ来て、彼の立ち上がる力とはなってくれなかった。