「……ウゥ」

 こうして犬扱いをしていいものかやや疑問に思いつつも足元に皿を置くと、セシリーは行儀よくぴしっと固まったリルルとしばし睨み合った。忍耐力の訓練だ。白狼はよだれを垂らさんばかりの顔で皿の上の肉に鼻をひくつかせていたが、こちらの言うことには逆らわずじっと耐える。

「……よし!」
「ガウッ!」

 セシリーがにっこり笑って合図をすると、彼は勢いよく肉にかぶりつく。

「それでこそ魔法騎士団の一員よ、偉い!」
「――こんにちは。リルル、ご飯中だったんだ?」
(……ありゃ?)

 本日も誘惑に負けず自らの誇りを守り通したリルルを褒めてやりながら、真っ白な毛並みをかき回していたセシリーのところに、ひょっこりと顔を出す者がいる。