「あのねラケル、もう少し先達には遠慮というものを……」
「団長命令ですから!」
「はいはい、わかりましから、引っ張らないでください」
指示を受け、ふたりは倒れていた男を縛り上げて来た道を戻ってゆく。その間青年は探るような瞳でこちらを見つめていたが、気が済んだのかぼそぼそと名乗りだした。
「あんた、名前は? 俺はファーリスデル魔法騎士団で団長を務めている、リュアン・ヴェルナーという者だ」
「……セシリー。セシリー・クライスベルです」
ようやく少し緊張が和らぎ、感謝を告げようとした彼女の胸に、リュアンと名乗った青年の言葉が痛烈に突き刺さる。
「まったく、若い女がどうしてひとりで街中をうろついていた。パレードで浮かれてたのかもしらんが、知り合いでもない男にほいほい付いていきやがって……」
(……なんでよ。私、好きでこんなことをしたわけじゃないのに)
ヒールが折れた際に痛めた彼女の足を見とがめ、彼は指先で光の模様を描くと、添えた手のひらに淡い光を宿す。やはり、これは魔法……。名前に魔法と付く騎士団なのだから、彼らにとっては当たり前かもしれないが、セシリーにとっては驚くべきことだった。
「団長命令ですから!」
「はいはい、わかりましから、引っ張らないでください」
指示を受け、ふたりは倒れていた男を縛り上げて来た道を戻ってゆく。その間青年は探るような瞳でこちらを見つめていたが、気が済んだのかぼそぼそと名乗りだした。
「あんた、名前は? 俺はファーリスデル魔法騎士団で団長を務めている、リュアン・ヴェルナーという者だ」
「……セシリー。セシリー・クライスベルです」
ようやく少し緊張が和らぎ、感謝を告げようとした彼女の胸に、リュアンと名乗った青年の言葉が痛烈に突き刺さる。
「まったく、若い女がどうしてひとりで街中をうろついていた。パレードで浮かれてたのかもしらんが、知り合いでもない男にほいほい付いていきやがって……」
(……なんでよ。私、好きでこんなことをしたわけじゃないのに)
ヒールが折れた際に痛めた彼女の足を見とがめ、彼は指先で光の模様を描くと、添えた手のひらに淡い光を宿す。やはり、これは魔法……。名前に魔法と付く騎士団なのだから、彼らにとっては当たり前かもしれないが、セシリーにとっては驚くべきことだった。



