「いえいえ。わたくしとしては、またお坊ちゃまの明るいお顔が見られて嬉しゅうございますとも。今も少しずつ、魔法騎士団の働きが決して正騎士団に劣るものではないことを証明しつつありますでしょう。屋敷の皆も、同じ気持ちで応援してくれていますよ」

 メイアナの言うようにセシリーも、魔法騎士団が注目を浴び始めたのは近年のことであると聞いている。併せて彼女は、それまでは正騎士団傘下のごく小さな部署であった彼らが独立し、大きく名をあげるようになったのもキースのお膳立てと、リュアンを始めた若手の活躍によるところが大きいのだということを、嬉しそうに話してくれた。

「まあ、まだ父上からは認められていませんから……これからですね。精々団長を馬車馬のように働かせて、いずれ正騎士団が取って代わられるかもと、戦々恐々となるくらいに大きくしてみせましょう……はっはっは!」
「まあ、キース様ったら。怒られても知りませんよ」

 軽い冗談を楽しそうに飛ばしたキースと、口元に手を添えころころと笑うメイアナ。もしリュアンの存在が無ければ、ふたりのこうした関係も維持できていなかったかもしれないなどと……セシリーはちょっとほろっときつつ、運ばれてきたケーキに口を付け始めた。