「特に今の私たちの団は、リュアンが入って大きく変わりましたからね。彼には、この人のために動きたいと思わせるような何かがある……。逸材を見つけ出し、育て上げた私もなかなか偉いものでしょう?」
「キース様ったら……。しかし、わたくしはリュアンさんに感謝していますよ。あのころのあなた様は、中々見ていて辛いところもございましたからね」

 トレイに頼んだふたつのケーキとクッキーを運んできたメイアナはそんなことを言った。クッキーはキースの分らしく、彼はここに来るとこれしか頼まないから、自動的にいつも付けることになったのだとか。

「正騎士団を選ばなかったせいで、両親やメイアナたちにはずいぶんと心配をかけてしまいましたね。その事だけは申し訳なく思っています」

 思うところも色々あるのだろう、キースはわずかに瞼を伏せてすまなそうにした。長い睫毛が瞳を陰らせ、そんな仕草だけで女性をどきどきさせるのだから、やっぱり美形は得だわとセシリーは心の中で激しく頷く。