「あなたのしている努力は間違ってはいない。でも愚直にやり続けるよりも、適した方法を探せばもっと効率よく成長できるはずだ。なによりも君には、強い心がある」

 私は彼の左に胸に拳を置いて言う。

「どれだけ体や頭が成長しても、心だけは脆く儚いもの。しかし、君には大切なものを失ってなお、挫けず足搔くことのできる意思がある。それは多くの人に勇気を与えるものだと私は信じます。だからそのまま迷わず進み続けなさい。足りない部分は私がなんとかする」
「……お願いします! 俺は必ずいつか胸を張って、あの人のおかげで多くの人を救えたと報告できるようになりたい……いや、なります! そのために、どうか力を貸して下さい!」

 そこでやっと進むべき道筋が見えてきたのか、リュアンは迷いの晴れた紫の瞳で私を見つめると、深く深く礼をしたのです……。



「――とまあ、今思い出しても恥ずかしいようなこんな青春のひと時が、私たちにもあったというわけですよ……」

 そう締めくくるとキースは照れ隠しか、彼らしからぬとても素直な笑みでセシリーへと笑いかけてくれたのだった。