「彼女は私の茶の師匠でもあるのですよ」
「そんな立派なものではございませんけれど……他ならぬキース様がお連れになった方ですし、心を込めておもてなしさせていただきますわ。さ、こちらをどうぞ」

 日々キースから、お茶のおもてなしにあずかっている身としては、期待しないわけにはいくまい。温かみのある手書きのメニューを手渡されたセシリーは、迷いつつショートケーキと旬の果実のタルトを選んだ。茶葉の種類は詳しくないので、キースが頼む紅茶と同じものにした。

「キース様とどうか、仲良くしてあげてくださいませね」
「は、はい!」

 注文を受け、上品な笑顔を浮かべたメイアナが下がってゆくと、キースはソファにもたれ、わずかに肩の力を抜く。

「未だに彼女には頭が上がりませんよ。ふたり母親がいるようなものでしょうか。おっと、失礼しました」
「いえいえ。とてもよいことだと思います」