「くくっ……野良猫とは。あなたにかかれば魔法騎士団長という肩書も形無しですね……! ふふふ、うちの団長が人見知りですみません」

 楽しそうに笑った後、仕事がひと段落ついたのかキースは髪をかき上げ、ペンを置いて立ち上がる。

「さてと。セシリーさん、そんな時は少し気分転換に外出でもどうでしょう? またいくつか揃えたいものがありまして……」

 彼から話を聞けば、どうやら急遽必要になった物資があるらしく、町に買い出しに出たいとの事だ。セシリーはロージーに断わりを入れると、彼について騎士団の敷地から抜けていく。

 そこで出くわしたのは、彼の姿を一目拝まんとするたくさんの御令嬢たちだ。

「相変わらず凄い人気ですね……」
「有難いことにね。ですが、今日の私はあなたのエスコート役ですから。よかったらお手をどうぞ」