「そう言う君の方こそ、王都一の美人さ。君みたいな女性と結婚できるなんて僕は幸せ者だよ、イルマ」
「やだぁマイルズ、私照れちゃう……」
(団長の方が美形に決まってんでしょうが! どこに目を付けてんのよこの苺ジャム女……!)

 セシリーは目の前で繰り広げられる幸せ茶番劇に胸焼けがしつつ、前髪の奥から鋭い眼光を送るリュアンに謝罪する。

「ごめんなさい、リュアン様。なんでもないですからゆっくりしていて下さい。お願いマイルズ、私に話があるなら、別にここでなくともいいでしょう? 今度いつでも好きな場所に伺うから……」

 するとマイルズは、まさにセシリーの座っていたその場所を指さし、傲慢にも追い払うように手を振った。

「悪いがセシリー、僕たちはそこがいいんだ……君らの座っているその席がね。わかったら今すぐどいてくれないか? そっちの冴えない男と一緒にさ」