「――おやぁ……? セシリーじゃないか」

 しかし、そんな夢のような一時の幕を下ろしたのは非情にも、今もっとも会いたくない人物たちとの遭遇で……セシリーは椅子を激しくがたつかせる。
 
 後ろから彼女たちを覗き込んできたのは、派手に着飾った金髪の青年と、赤い髪の美少女。

「こんな所でまた会うとはね。元気そうでなによりだよ、セシリー」
「あらあら、もう男連れでお茶だなんて……失恋の寂しさが耐えられなかったのかしら? かわいそ~」

 マイルズとイルマ。 
 忘れようもないふたりの嫌みな声が、容赦なくセシリーの胸を刺し貫いた。