冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

「ティチも持つよ!」
「あなたは他に仕事があるんだから、こんなことで腕を疲れさせちゃ駄目でしょ! 彼はとってもすごい魔法騎士様で力持ちだからこのくらいへっちゃらなの! ですよね、リュアン様?」
「…………」
(う~ん……機嫌が悪いのは仕方ないか)

 ちょっとばかし持ち上げてみたのに、先日笑いものにした件の恨みは根深いのか、相変わらずリュアンの反応は無い。セシリーはなるべく気にせずに、あちこちに忙しなく興味を移すティシエルの手綱を握りつつ、販売員の人々から品物を買い上げていった。

 クライスベル商会の販売所は、安心安全適正価格を売りにしており、町の素性の分からない店とは違って交渉無しで仕入れられるのは嬉しいところだ。

 最後に買った魔力ポーションを大ぶりのバスケットに収納しながら、ふとした疑問をセシリーは口に出す。

「私、魔力ポーションって飲んだこと無いんですけど、どんな味なんでしょうか?」