騎士団本部では、毎日出入りの業者がそれぞれの袋に入れられた洗濯物を受け取り、洗い終えたものと取り換えに来る。魔法で洗浄されピカピカになって帰ってくるのだから、ありがたい話だ。これも国お抱えの騎士団ならではだろう。

 それでも日によっては数十個から百個にも上る洗濯物の袋を仕分けし、指定した番号の部屋へ持っていくのは結構な作業量だろう。しかし不満そうな素振りもせず、笑顔で渡してくれたのには少し見直した。

「ああ、助かる」
「あ、あの……なにか作ってます?」

 俺が扉を半開きにしていたから中の様子が見えたのだろう、彼女はそんなことを尋ねてきた。あまり私的なことを探られるのは好きではないから、洗濯物の袋をつかむと、なんとなく言葉を濁す。

「別にいいだろ。音とかは魔法で響かないようにしてるから、迷惑にもならないはずだ」