「ずる~い。皆ちょーっと若い子が来ると、すぐ色気だしちゃうんだから」
「そんなこと言わないで下さいよ~! ロージーさんの時だって結構休憩時間手伝いに行ってたんだから。勘違いしないで下さい、あくまで僕らの、健康的な体作りのため、です!」
「それを言われると立つ瀬がないわよね……。よーし、ではこれより炊事班長にセシリー・クライスベル殿を任命する。以後あんたらは彼女の指示に従うこと、いいね!」
「「「了解!」」」

 すると三人は横一列に並び、綺麗な敬礼をして見せた。

(ぷっ、大袈裟。でも……これが皆の元気の源になるんだもんね。頑張っちゃお……!)

 炊事班長なる謎の役職に急遽(きゅうきょ)任命されたセシリーは、苦笑しながらも腕をぐるぐると回す。皆が自分のご飯を少しでも期待してくれていると思うと、やる気も一入(ひとしお)なのだ。

 手は抜かないで誠心誠意努めることを誓うと、新たな炊事班を率いて厨房に急ぐ。もう彼らの戦場――ランチタイムは、すぐそこに迫っている。