「あんたさ……男の気持ちが、わかってないと思うよ。なんなら、もしモテないのなら、俺でもイケるかも声をかけようみたいな男だって絶対居るんだ。数が居れば、そういうやつも出てくるもんだよ。全員が全員、頭の良い美人を好きなわけじゃないから」

「……そんなものです?」

「あんたの思う通り、美人で話の上手い女を好きな男もそりゃ居るよ? 数は多いかも。それは否定しない。けど……自分がある程度能力持ってると自負している男なら、不器用で守りたいと思える女を好きだよ。俺が居なくてもやって行けると思えば、俺は居なくても良いじゃんってなるし。大体は好きな女に頼られたいから、能力高める訳だろ。前提がそれだから……うん。そうそう。シリルはそうだと思うよ」

「そっか。シリルは、そうなのかもしれないですね」

 私はルーンさんが言ってくれた理屈を聞いて、ようやく納得した。

 自信がなくて頼りない女性を、自分が守ってあげたいと思ってくれる男性だって居るんだと。