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「あんたって、本当に……何を言い出すかわからないね」

 いつものように、魔塔での仕事をサボって遊びに来ていたルーンさんは、私の話を聞いて呆れたようにして言った。

「でも、気になるんです。ルーンさんだって、シリルの寝相については何度も言っていたから……そんなにすごいのかなって、どうしても気になってしまって……」

 あんなに何をしていても、爽やかで格好良く決まってしまう夫シリルの、悪いという寝相……うずうずするくらい見たいし、とっても気になる。

 ルーンさんは頬杖をついて、お茶を飲みつつ、一旦遠い目をしてから私に向き直った。

「あー、まあね……どんな様子なのか、俺から言葉で聞くより、一回見た方が断然早い。初めて見た時、俺も自分の目を疑ったしさ。これ、夢の中でもないしなとか」

 まるで、世にも珍しいものを見たかのように語るルーンさんに、私はそれを見たいという気持ちが倍増してしまった。

「……そんなに……ですか」

 ますます、より、気になるわ……どんな寝相なの。ここ数日、何度も挑戦して見られなかった失敗の日々も、そんな私の気持ちに拍車を掛けてしまった。

「うん……そうだなー……フィオナも若いし、一夜くらいだったら、徹夜も良いだろうしさ。あいつが眠るまで待って、それから部屋を覗いてみたら?」