続き部屋の扉は結婚式がまだだからという理由で、シリルが鍵を掛けているけれど、こっそり部屋を覗くくらいなら……と思って、何日か前からシリルの部屋に早朝に訪ねて、彼がもう居ないことに気がつくということを繰り返していた。

 今朝もシリルは、居なかった……けど、朝食の時には、何故か帰って来ているし……もし、私が「今まで何処に行っていたの?」と聞けば「どうしてフィオナは、俺が居なかったことを知っているの?」と、聞き返されるでしょう?

 寝相が見たいなんて言ったら、優しいシリルだって気分を害してしまうかもしれないし……と、なんだかモヤモヤしながら、シリルが早朝に何処に居たのかは、聞けないままだ。

 私はベッドへと近寄り、そっと表面を撫でた。掛け布は乱れていて、触るとまだ温かい……と、いうことは、彼はさっきまでここで眠っていたということだ。

 ほんの少し前のシリルの熱が残っていて、なんだか嬉しい。

 けど、数日同じことを繰り返しても、目的のシリルの寝相は見られない。

 私はうーんと悩んで、こういう時に相談出来るあの人を思い出し、今日もロッソ邸に来るだろうから聞いてみようと思った。