「そうね。そう思うわ。シリル。誰だって、嫌な部分や間違ってしまうことはあるけど……ジャスティナはちゃんと謝ってくれたし、こうして時間や手間をかけて私への愛情を示してくれた。だから、すぐには何もかものしこりが消えて解決出来る訳ではないけど……ゆっくり、わかり合っていきたいと思えるもの」

 やがて馬車は動き出し流れていく風景に、私はそう思った。

 信頼は確かに積み重ねていくものだけど、間違いを犯さない人なんて居ない。

 誰が何を言おうと私とジャスティナの両方が許し合いたいと思って続くのなら、それが二人の関係なのだから。

「良いね。俺もフィオナと、そういう夫婦になりたい。長い時を一緒に過ごせば、嫌なところも出てくるだろうけど……喧嘩をしたとしても、確かな愛情があればわかってもらえると思えば、気持ちは楽だから」

「でも……シリルに、嫌なところなんてあるの?」

 だって、何もかもが完璧な恋人で夫に思えているのに。私は本当にそう思ったんだけど、シリルは微妙な表情になって大きく息をついた。