緊張の面持ちのまま玄関ドアまで到着した鈴に

「大丈夫だって。開けるよ?」

と言いながら両開きドアの片側に手を掛けると…グイッ…中からドアが引かれた。

「車が着いたって聞いてから玄関に来てたのに遅いんだもの」
「待ちきれずにお迎えに来たわ。鈴さん…じゃないわね」
「ほんと、そうね」
「…ぇ…鈴です。小野田鈴と申します」
「はじめまして、早織です」
「ようこそ、詩織です。鈴さん呼びは違うって言ったんです」
「鈴ちゃんかリンちゃんよね」
「鈴ちゃんかな」
「どっちでもいいが、入らせてくれないか?寒い」
「お兄さん、入って。鈴ちゃん、素敵なお着物だから私とここでお写真を撮りましょう」
「私も一緒に。お兄さんにお願いするわ」

俺から鈴を奪うように左右から鈴の手を引き、俺にスマホを渡した妹たちは鈴を真ん中にエントランスの花の前に並んだ。

「鈴、大丈夫?」
「はい…何とか」

なぜ俺がこんなこと…とも思うが、妹たちがずっと楽しみにしていたことも知っている。

「あらあら…いつまでも入って来ないと思えば…」