「あと10分で開始します。
机の上は鉛筆2本。消しゴム1個。
用意しておきましょう。」

試験官の指示に、俺は筆箱を出して
鉛筆を2本取り出した。そして
あれ……消しゴム…………。

うわ、まじかよ……。

「ケホッ……ケホッ…………」

やべぇ……。

その時。俺は気づいてしまった。
消しゴムを家に忘れてきてしまったことに。

最悪だ……。うわー……どーすんだよ!
なんも間違えらんねぇじゃねぇか!
くそっ……。

途方に暮れていたその時だ。

「あれっ?消しゴム忘れちゃった…?」

透き通るような
かわいらしい声が俺の耳に届いた。