「あっ、きゃぁ……」

片瀬さんがバランスを崩し、
倒れそうになった。

「……っ、」

とっさに手が伸びて、
片瀬さんを抱きしめてしまう。

「あっ……、ご、ご、ごめん!」

だけどすぐに片瀬さんが叫ぶ。

「……いや…大丈夫か?」

「……」

すぐに俺に寄せられる
片瀬さんの重みがスっ、と離れていく。

「うん…、大丈夫。ごめんね…」

片瀬さんはなんも悪くないのに。
何度もごめんね、を言って
申し訳なさそうに俺を見る。

「これ…」

女の子のカバンから勝手に出すのはどうかと思ったけど、いても立ってもいられず…。
片瀬さんの水筒を差し出す。

「飲もうとしてただろ…」

「あ…うん…。ありがとう…」