しばらくすると、
診察室から松葉杖ついて、
片瀬さんが出てきた。
急いで涙を拭って、駆け寄る。
骨にヒビ…。
松葉杖を憧れだった、
と言って笑う片瀬さんを前に、
さっき拭ったばかりの涙が
もう1度溢れてきた。
手で覆って必死に隠そうとするが、
ダメだった。
男が泣くとか、まじダサいよな…。
それに、今泣きたいのは
俺じゃないはずなのに。
こうなる前に…、
いつまでもビビってないで……、
ハッキリさせるべきだったんだ。
自分の気持ちをちゃんと伝えたくて…
俺は覚悟を決めた。だけど…
「片瀬さん。俺……っ、片瀬さんのこと……」
言おうとした、”好きだ”は
「ごめん…。今日はちょっと…疲れちゃった。帰る、ね」
さえぎられてしまって。
多分…
距離ができてしまった───────。