「あの...先輩の…好きな映画のジャンルは何ですか?」
朝比奈君はいきなり話題を変えてくる。
「…えっ…?なに急に…───
映画はミステリーとかアクションが好きかしら…───」
私の答えに朝比奈君は何やら考え込んでいる。
「じゃあ...好きな本は?」
「本…?えーっと……そうね。
食べ歩きガイドは勿論だけど、あと推理小説とか…」
「恋愛漫画とかは?」
「恋愛漫画···?
私、家族が上に兄と下に弟が一人だから、そういった女の子の本は読まなかったのよ。男の子が読む本ばかりだったわ。」
「なるほど…通りで…」
「通りでって何?勝手に人のこと解釈しないでくれる。」
「先輩は僕が想像していた以上に男らしい女性のようです…」
「朝比奈君ッ。あなた、サラッと酷いこと言ってるの分かってる?」
私のこめかみに青筋が浮き立つ。
「仕方ない……。長期戦を覚悟するしかないですね……。」
「長期戦?何の話……?」
「男前な先輩には分からない話です。」
「ああ、そうッ」
…ったく、先輩に対して失礼にも程がある。



