失恋タッグ

「倉木リーダーがどう思ってたかは知りませんが…───
僕は今日···先輩と食べ歩きをしてとても楽しかったです。」


私は隣に立つ朝比奈君に目を移した。


朝比奈くんは私に優しい笑顔を向けている。

その言葉が例え慰めだとしても、浮気されて心がささくれた私には嬉しかった···。


「ありがとう···私も楽しかったわ」
 

私は思わず目を細めていった。


「先輩となら···───
例え、近所の公園でも僕は楽しいと思えます。」


朝比奈くんは私の目をしっかり見つめてそう言う。


「そう····」


近所の公園····。


うちの近くの鉄棒と砂場しかない古びた公園を思い浮かべた。

折角、朝比奈くんが慰めてくれているのに、私はあまり同意できなくて返答に困る。


「はい····」


···············。


しばしの間、私達の間で変な沈黙が流れる。


「あの···────」


朝比奈くんは(ようや)く口を開いた。


「ん?」



「····───先輩は、····鈍感な人ですか?」


朝比奈くんは、呆れたようにため息をつく。


「·····っ···失礼ね!!誰が鈍感よッ」


私は思わず声を荒げてしまう。