失恋タッグ

そして赤い鳥居をくぐり、石段を登って神殿に着くと後ろを振り返ると、そこから広がる絶景に息を飲んだ。。


「わぁ···絶景ね」


眼下には、街がミニチュア模型のように広がり、湖は太陽の光に湖面がキラキラと反射して輝いている。遠くには山々の間に富士山も小さく顔を覗かせていた。

山頂の澄んだ空気に思わず大きく深呼吸する。

 
「先輩、大丈夫なんですか?」


私がその景色を目を輝かせていると、隣に並んで立つ朝比奈くんが心配そうに問いかけてきた。

大丈夫というのは、私の高所恐怖症のことを言っているのだろう…


「地に足がついてれば、大丈夫なの。
ロープウェイやジェットコースター···あと、観覧車も駄目ね。」



「じゃあ····飛行機も駄目ですか?」


「あれが、一番苦手…───。
一度乗ったことあるけど、恐くてずっと音楽を聴いて気を紛らわせてたわ」


「僕はてっきり先輩は海外旅行ばかり行ってるものだと···」


この子は私のことを一体何だと思っていたのだろう?
私はかなり私生活は派手な印象を持たれているのだろうか···?


「残念ながら、日本から出たことないわ··」


朝比奈くんの想像とは逆にかなり私の私生活は至って地味だ。


私が飛行機に乗れないものだから、快斗との旅行はいつも車か新幹線で行けるところだった。


「新婚旅行を予定してたところも、車で行ける範囲のとこだし。
つまらない女でしょ···。それで浮気されちゃったのかな···」

私は景色を眺めながら、大きく息を吐いた。