「運転してみますか?
先輩の運転する姿、見てみたいですし──」


朝比奈くんはそう言って口元に笑みを浮かべている。


「いやよ。人様の車を傷付けられないわ。」


「残念ですね…──。
それなら……次は先輩の運転で行くことにしましょう。」

たまたま今回、思い付きで誘ったのだけど、次もあるのだろうか
と疑問に思う。


「そんなことより、朝比奈くん?
あなたも本当は今日、前澤くんと一緒に
草野球の練習があったんじゃない?」


朝比奈くんが家に迎えに来て貰ったときは、
少し肌寒むかった。

朝比奈くんは私が風邪をひくのを心配して、トランクから私に掛ける薄手の毛布を出したとき、野球道具が一式積んであったが見えたのだ。


「……あ、バレてしまいましたか」


朝比奈くんはイタズラが見つかったように、ハハッと笑みを浮かべた。


「それならそうと、言ってくれれば日付変更したのに…───。」


私は呆れたように息を吐いた。