失恋タッグ

私は渋々、声がした方に顔を向けると
そこには沙苗ちゃんとおまけに快斗の姿があった。


「お疲れ様。」


「せんぱい達もこれからミーティングですかぁ?」


沙苗ちゃんはこれみよがしに快斗にくっついている。


「ええ···」


私はあまり二人を直視したくなくて
掲示板に目を反らして、素っ気ない態度で答える。


「柚葉···───」


快斗が沈んだ声色で名前を呼んできた。

その瞬間、沙苗ちゃんの眉間に皺が寄る。


「すみません、倉木リーダー。
これからは下の名前で呼ぶのは控えていただけますか。それに今の彼女に失礼ですよ」


もう、私は快斗の彼女ではない。

しかも、今は、会社で快斗が私を振って沙苗ちゃんに乗り換えたという噂で持ちきりだ。

まだ私のことを下の名前で呼んでいることが、社内に広まれば変な噂がたってしまう。
 

「ごめん···気を付けるよ」


そう言って快斗は寂しそうな表情を浮かべる。

否定しないところをみると、やはり二人はすでに付き合っているのだろう。


「快斗さん」

沙苗ちゃんがぴたりと快斗に寄り添う姿が視界に入る。

しかも、沙苗ちゃんは明らかに私にむかって敵意。

これでは私が浮気相手で悪者扱いされてるようだ。