失恋タッグ

それから新年度が始まり、ペア分けが発表されたのだが今回のペア分けは異例のものとなった。

私や快斗だけでなく、他のベテラン勢も後輩と組ませることで他の社員からの批判を回避する狙いだろう。


栞奈も朝比奈君の同期の前澤君と組むことになったのだ。

栞奈たちはわが社の定番商品のお菓子の季節限定の季節限定バージョンの企画開発を任されている。


「前澤、私があんたをビシビシ鍛えてやるからな」

173センチある身長の栞奈は腕組みをしたまま、小柄な前澤君を見下ろして威圧する。

いや、本人にとったら威圧感を与えているつもりはないのだろうが、
傍から見れば親分と子分のように見える。


「北村先輩、、出来ればお手柔らかにお願いします」


前澤君はびくびくした面持ちで言う。


「取り敢えず、今日は帰りに私の通ってるボクシングジムでスパーリングだ。あんたはちょっと体を鍛えた方がいい」


そう言って栞奈はおびえる前澤君の肩に手を回した。


「ええッ!!北村先輩、僕、格闘競技なんてしたことないですし、勘弁してください。」


「したことないなら、やってみればいい。
ほら、打ち合わせ行くぞ。」


「そんなあぁぁ...」


栞奈は前澤君の肩に手を回したまま、絶望的な表情の前澤君を連れてミーティングルームへと入っていった。