はぁ...あのエロおやじ...

浮気された挙句、浮気相手と元彼が仕事上でペアを組むことにでもなれば、秋月先輩は更に部署に居づらくなってしまう。

そんな下心で簡単にペア割を承諾するなんて、真面目に商品開発に取り組んでいる社員を馬鹿にするにもほどがある。


いや、待てよ..

それを良しとするなら...


「じゃあ、僕が秋月先輩とペアを組むことだって頼めば承諾してもらえますよね?」



「おいおい、俺に言うなよ。
俺はその辺、タッチしてないんだから。」


「須崎専務は常務より、役職は上なはずですが…───?」


「上だけど、常義に任されたペア割考えるの面倒だから常務にその仕事押し付けた手前、頼みづらいんだよなぁ。」

元々は専務に任された仕事だったのかよっ。

役に立たないなぁ。

僕は思わずチッと舌打ちが出た。


「あっ、お前、役員相手に舌打ちしたな。
ったく、、交渉するなら、常務に直接交渉しろよ。
それが嫌ならお前の叔父さんに交渉すればいい」


「分かりました。叔父さんに直接交渉します」


僕は、そう言って立ち上がると空になった空き缶をゴミ箱に捨てる。


「それより、航はもしかして柚葉嬢に..」


僕は須崎専務に視線を戻した。


須崎専務はからかうような眼差しで、ニタニタとこちらを見上げている。


「須崎専務。その顔、気持ち悪いです···──」


僕は冷めた目付きで一言そう告げると、
ギャーギャーと文句を言う須崎専務を
無視して休憩室を後にした。