流石にこの場で倉木リーダーが浮気してますなんて言えるわけがない。

しかも、秋月先輩の向かいに座る北村先輩は
好奇の眼差しを向けて僕たちのやり取りを眺めている。


「あの···──できれば二人きりで話したいのですが、この後時間ありますか?」

秋月先輩は明らかに動揺したよう表情を浮かべた。

もしかしたら、僕が告白でもしてくるのではと勘違いしているのかもしれない。

でも、変に勘づかれてしまうよりも、告白されるのではと思ってくれた方が好都合かもしれない。


「ごめん。きょうはちょっと予定が···──」


しかし、それが逆に秋月先輩に警戒心を与えてしまったらしく、断られてしまう。

だけどここで食い下がるわけにはいかない。


僕は「じゃあ、いつなら空いていますか?」と、もう一度問いかけた。


秋月先輩はお昼に時間を取ってくれるというので、僕は「約束ですよ」と念押ししてから、踵を返した。