失恋タッグ

会社の廊下にも関わらず、有森はまるで恋人のように倉木リーダーに抱き着いていた。


僕は思わず眉間に皺を寄せる。


「有森さんッ、ここは職場だからッ。誰かに見られたら···───」

焦った様子でキョロキョロと辺りを見渡す倉木リーダーに、僕は背丈ほどある観葉植物の後ろに身を隠した。


「倉木リーダー、先週の夜はとても良かったです」

有森の甘えた声が聞こえる。


「有森さん、いや、あの、あれは．．．」


倉木リーダーはどう説明しようか迷っているようだった。


「倉木リーダー、私を好きだって、言ったじゃないですか」


「あれは···───
酔った勢いというか···」


「そんな··遊びだったんですか」


有森の涙声に倉木リーダーは「いやっ、そういうわけでは···。ちょっとこの話はまた別の場所でしよう」有森を必死でなだめている。


「じゃあ、あとでメールしますね♪♫」


有森はケロッとした様子でそう言うと、
困り顔の倉木リーダーを残して部署へ戻っていった。