失恋タッグ

「そういうのはいいから、どういうことか説明して。
復讐って何よ..」

さすがに復讐などと物騒な言葉に、私は余裕のある態度を見せつつも
内心、身構えてしまう。

朝比奈君は次の言葉に迷いつつも、
「秋月先輩、倉木リーダーに浮気されましたよね」
と、はっきりとした物言いで言葉を続けた。

「なにっ..を..」

私は動揺して言葉を詰まらせた。

何故、朝比奈くんがそれを知っているの?

「すみません。本当はもう少し先輩が落ち着いてから話したかったんですが、
他の部署に異動願いを出されてしまってはいけないので..」

朝比奈君は私の動揺した表情に、少し慌てた様子で付け加えた。

「分かったから、ちゃんと説明をして。」

私は思い出して込み上げてきそうになる涙を堪えて口を開いた。

「実は僕も有森沙苗に振られた身です」

朝比奈君は切なそうに呟いた。

「えッ?!」

私は彼の発言に、思わず涙が引っ込む。

同じ部署だが、二人が付き合っているというそんな噂は聞いたことがない。

「二人って付き合ってたの...?」

私は彼の傷口を刺激しないように、気を遣いながら問いかけた。

もし、彼も浮気されていたとしたら、同志だ。

なんだか、可哀想で親近感すら湧いてきてしまう。

しかし、私の問いに先ほどまで切なげな表情を浮かべていた朝比奈君は
「いいえ。付き合ってません。」と、ケロッとした態度で言い切った。