「ごめん...」

快斗はただ謝るだけだ。

「それは答えになってないよ?なんで?」

私は快斗の曖昧な答えに少し感情的に問いかける。

「ごめん...俺、柚葉以外の子と...」

そこまで言って快斗は口を噤んでしまったが、それだけで理由は十分すぎた。

私は分かっているものの頭の中が整理できずに、額に手を当てた。

「誰と...?」

私は聞いたらもっと苦しくなってしまうと分かっていているにもかかわらず、
問いかけてしまう...。

「有森さん...」

私はその名前に愕然とした。
先程、私に平然とお酒を注いでいた後輩だった。
沙苗ちゃんは私と快斗が付き合っていることは、当然知っている。

「なんで、よりにもよって同じ部署の子と...」

私は悲しさや怒りが頭の中でぐちゃぐちゃに掛け合わり、
道の真ん中にも関わらず、ポロポロと涙が溢れ出していた。