でもそれはさておき……

俺ちょっとトイレ行きたいんだよなぁ…。

親指……結構強く掴まれてるけど…、

……ゆっくり抜いたら大丈夫か?

尿意がもうそこまで迫ってきていたので
俺はゆっくりと立ち上がって芹奈ちゃんに掴まれたままの親指を引っ張る。

ーースポッ……

あ。抜けた。

よし、このままゆっくりリビングを出れば……
忍のようにゆっくりと歩き出そうとした
その時だった。

「ん……」

やべ……っ

芹奈ちゃんの瞼がピクっと動いて
目が……パッチリと開いてしまった。

「……あ、起きたか、?俺ちょっとトイレ行っ……」

悪事がバレたかのような顔で苦笑いを浮かべてみた。

しかし一瞬にしてさっきまでの穏やかな寝顔とは正反対に下唇を噛んでしまった芹奈ちゃん。

まずい……っ、

「…やだぁ……うぅー…行っちゃやだぁ……ぁぁ、うわぁあああああん……」

だよなぁ……。

***

何かあればすぐわーわー、泣き、
片時も俺から離れなかった芹奈ちゃん。

まるで赤ちゃんで、母性本能をやたらくすぐられる日々がしばらく続いた。

…が。

一緒に暮らし始めて1ヶ月が経つ頃には……