オムライス2つと後から来た
嵐が頼んだオレンジジュースで数時間滞在したファミレスは閉店時間を迎えようとしていた。

「芹奈ちゃん、芹奈ちゃん……」

「んーん……」

机に突っ伏す芹奈ちゃんはすっかり夢の中で、
どれだけ呼び掛けても起きてはくれなかった。

「ぐっすり、っすね」

嵐が小声で言う。

「あぁ…、だな」

いっぱい泣いて…、疲れたんだろうな。

眠っている芹奈ちゃんを抱き抱えて
俺らは外へ出た。

ファミレスの会計を嵐に全て任せた為
今度何かを奢る約束を取り付けられてしまった。

嵐はまだ中学生だが、
多分俺よりずっとしっかりしている。

「ほんと、海里さんに似てますね」

嵐が俺の背中におぶられた
芹奈ちゃんの寝顔を見て呟いた。

「そうだな」

「スー……スー……」

耳元で可愛らしい寝息が聞こえてくる。
もう熟睡だ。

「一緒に住むんですか?
これから。芹奈ちゃんと」

「……どうだろうな、一応同い年、だしな…」

海里さんと芹奈ちゃんは2人で暮らしていたと
言っていた。

つまり、海里さんがいなくなってしまった今……この子は1人な訳で……。