脚の上に座って腕の中におさまって本を読む莉央がかわいくてしょうがない。
ここからは後頭部しか見えないけれど、それでも癒しの重みがある。かわいい匂いが感じられる。いとおしい体温がある。顔はまったく見えないけれど、この上ないほど満ち足りている俺。
時折たまらず匂いを嗅ぐと、「や……」と小さな声を出して身をよじる。それがかわいくてしつこくしていると、小さな声は「嗅いじゃだめ……」とはっきりした言葉になる。
猫みたい……。
眠そうな猫を撫でると、小さな声を出す。それでもしつこくしていると、迷惑そうな声を出して体勢を変える。それでも遠くへはいかない。
莉央にはそういうかわいさがある。
「ページ進まないね?」
「皐月くんが……」
「俺のせい?」ととぼけると、莉央は、むぅ、とでもいいそうな顔で怒った。
「ごめんごめん、静かにしておくよ」
「そういうんじゃない……」
「匂いも嗅がないよ」
「ん……。次やったら禁止令出す……」
ああ、だめといわれるほどやりたくなるのはなんなんだろう。
だめだと思うほど嗅ぎたくなる。
ぎゅっと抱きしめて、肩にひたいをのせる。
「かっ……!」
「嗅いでない嗅いでない」
「……変な匂いじゃないよね……?」
「かわいい匂い」
「うぅ……ほんと?」
「俺はうそつかないよ」
「兜かぶって生まれてきた?」
「あれは冗談」
「うそじゃん……」
「うそは人を傷つける、冗談は人を笑わせる。兜の話は莉央も笑ってくれた」
「そうだけど……」
「嗅いでいい?」
「……」
「かわいい匂い嗅ぎたい」
「……変態さんだなあ……」
「いい?」
「くさくないんでしょ……? ほんとに皐月くんの好きな匂いなんでしょ……?」
「嫌いな匂いは嗅げないよ。莉央はかわいい匂いする」
「かわいい匂いがわからない……」
「嗅いでいい?」
「ん……くすぐったくしないでね……?」
「心得た!」
鼻から思いきり息を吸いこむと、「心得てない……!」とかわいい悲鳴があがった。
ああ、俺は人を思える人には、『美しく』はなれない……。
ここからは後頭部しか見えないけれど、それでも癒しの重みがある。かわいい匂いが感じられる。いとおしい体温がある。顔はまったく見えないけれど、この上ないほど満ち足りている俺。
時折たまらず匂いを嗅ぐと、「や……」と小さな声を出して身をよじる。それがかわいくてしつこくしていると、小さな声は「嗅いじゃだめ……」とはっきりした言葉になる。
猫みたい……。
眠そうな猫を撫でると、小さな声を出す。それでもしつこくしていると、迷惑そうな声を出して体勢を変える。それでも遠くへはいかない。
莉央にはそういうかわいさがある。
「ページ進まないね?」
「皐月くんが……」
「俺のせい?」ととぼけると、莉央は、むぅ、とでもいいそうな顔で怒った。
「ごめんごめん、静かにしておくよ」
「そういうんじゃない……」
「匂いも嗅がないよ」
「ん……。次やったら禁止令出す……」
ああ、だめといわれるほどやりたくなるのはなんなんだろう。
だめだと思うほど嗅ぎたくなる。
ぎゅっと抱きしめて、肩にひたいをのせる。
「かっ……!」
「嗅いでない嗅いでない」
「……変な匂いじゃないよね……?」
「かわいい匂い」
「うぅ……ほんと?」
「俺はうそつかないよ」
「兜かぶって生まれてきた?」
「あれは冗談」
「うそじゃん……」
「うそは人を傷つける、冗談は人を笑わせる。兜の話は莉央も笑ってくれた」
「そうだけど……」
「嗅いでいい?」
「……」
「かわいい匂い嗅ぎたい」
「……変態さんだなあ……」
「いい?」
「くさくないんでしょ……? ほんとに皐月くんの好きな匂いなんでしょ……?」
「嫌いな匂いは嗅げないよ。莉央はかわいい匂いする」
「かわいい匂いがわからない……」
「嗅いでいい?」
「ん……くすぐったくしないでね……?」
「心得た!」
鼻から思いきり息を吸いこむと、「心得てない……!」とかわいい悲鳴があがった。
ああ、俺は人を思える人には、『美しく』はなれない……。



