「ブライアンのニーナに対する印象は割とよかったよね」とわたしはいった。
「そうだね。心の中で、妹のほうがかわいいとかいってたけど」
「おしとやかな女性よりおてんばな女の子っていう感じの人が好きなんだろうね」
「自分がはっちゃけてるからなあ、ブライアン」
ブライアンとニーナの名前をつないで、『第一印象 良〜中』と書く。
「そういえば、ブライアンとニーナのくだらないいい合いもよかったね」
「ああ、ごはん食べるときにどこに座るかってやつだよね」
思い出してわたしも笑う。
「『向かい合っていては食事に集中できませんわ』ってやつでしょ」
「そうそう、『ブライアンさまほどのお方の美しいお顔を眺めながら、どうして食事なんてできましょう』っていう」
「ああ、あれ、ブライアンがオリヴィアをかわいい人だねっていったのが気に入らなかったんだよね、ニーナは。自分と結婚したのに妹に気が移るなんて許せないって」
「ニーナは割と早く“妻”になったよね」
「でもそれ以上に、やっぱりオリヴィアのお姉ちゃんなんだよね。あのときって、ニーナはまだ、ブライアンに対して警戒心っていうか、……その、自分で考えて選んで決めて結婚した人ではあるけど、やっぱり、なんで急に結婚しようなんていってきたのっていう、不安っていうか疑問があったわけで、そんな人に妹と接さないでほしいっていうのもあったんだよね」
「そうそう。かわいいよね」
「かわいい?」と聞き返すと、皐月くんは「女の人の独占欲みたいな、ちょっとした嫉妬みたいなの大好き」といって笑う。
「実際にはそんなかわいいなんてものじゃないかもしれないよ?」
「あんまり激しいとドロドロするし怖いけど、ほら、好きな人が見てくれなーいってちょっと拗ねてみたり、この人は誰にも渡さないんだからね、みたいな子供っぽい独占欲って、半端じゃなくかわいくない?」
「あーあ」とわたしは顔をしかめて見せる。
「皐月くんは女の人に夢を見てるよ」
「そう?」
「実際の独占欲ってすごいものだよ? きっと」
「でも莉央はそんな俺の夢を叶えてくれる」
「猫をかぶってるのかもしれないよ」
「え、かわいい。にゃんにゃん、っていって」
いわれているわたしのほうが恥ずかしくなってきて睨み返すと、「あ、かわいい」と笑う目の前の変態さん。
「好きな人には自分の声しか聞かせたくなくて、自分のことしか見せたくない、ふたりきりの小宇宙にいきたがる、好きな人といる時間が百年くらいじゃとても足りないような俺だよ、ある程度の独占欲には耐性あるよ」
「ふうん? じゃあそれ全部、わたしがいったら? わたしの声しか聞かないで、わたしのことしか見ないで、ふたりきりの小宇宙で、千年、万年と生きていたいっていったら?」
「望むところだよ。俺はそれに、おはようとおやすみのキスも追加注文したいね」
「わ、わたしだって、おはようとおやすみのキスに、……ぎゅうも注文するもん」
「ちっさなオーダーだね。俺は頭なでなでもトッピングする」
「わ、わたしだって——」
「そこでさらに、かわいいフレーバー嗅ぎ放題も注文する」
「なっ……!」
ああもう、顔が熱い。なんでそう急にとんでも発言してくるかな……。
「そ、それはだめ……!」
「いや、注文するよ」
「それだけはだめ……! お、お断りします……‼︎」
「そうだね。心の中で、妹のほうがかわいいとかいってたけど」
「おしとやかな女性よりおてんばな女の子っていう感じの人が好きなんだろうね」
「自分がはっちゃけてるからなあ、ブライアン」
ブライアンとニーナの名前をつないで、『第一印象 良〜中』と書く。
「そういえば、ブライアンとニーナのくだらないいい合いもよかったね」
「ああ、ごはん食べるときにどこに座るかってやつだよね」
思い出してわたしも笑う。
「『向かい合っていては食事に集中できませんわ』ってやつでしょ」
「そうそう、『ブライアンさまほどのお方の美しいお顔を眺めながら、どうして食事なんてできましょう』っていう」
「ああ、あれ、ブライアンがオリヴィアをかわいい人だねっていったのが気に入らなかったんだよね、ニーナは。自分と結婚したのに妹に気が移るなんて許せないって」
「ニーナは割と早く“妻”になったよね」
「でもそれ以上に、やっぱりオリヴィアのお姉ちゃんなんだよね。あのときって、ニーナはまだ、ブライアンに対して警戒心っていうか、……その、自分で考えて選んで決めて結婚した人ではあるけど、やっぱり、なんで急に結婚しようなんていってきたのっていう、不安っていうか疑問があったわけで、そんな人に妹と接さないでほしいっていうのもあったんだよね」
「そうそう。かわいいよね」
「かわいい?」と聞き返すと、皐月くんは「女の人の独占欲みたいな、ちょっとした嫉妬みたいなの大好き」といって笑う。
「実際にはそんなかわいいなんてものじゃないかもしれないよ?」
「あんまり激しいとドロドロするし怖いけど、ほら、好きな人が見てくれなーいってちょっと拗ねてみたり、この人は誰にも渡さないんだからね、みたいな子供っぽい独占欲って、半端じゃなくかわいくない?」
「あーあ」とわたしは顔をしかめて見せる。
「皐月くんは女の人に夢を見てるよ」
「そう?」
「実際の独占欲ってすごいものだよ? きっと」
「でも莉央はそんな俺の夢を叶えてくれる」
「猫をかぶってるのかもしれないよ」
「え、かわいい。にゃんにゃん、っていって」
いわれているわたしのほうが恥ずかしくなってきて睨み返すと、「あ、かわいい」と笑う目の前の変態さん。
「好きな人には自分の声しか聞かせたくなくて、自分のことしか見せたくない、ふたりきりの小宇宙にいきたがる、好きな人といる時間が百年くらいじゃとても足りないような俺だよ、ある程度の独占欲には耐性あるよ」
「ふうん? じゃあそれ全部、わたしがいったら? わたしの声しか聞かないで、わたしのことしか見ないで、ふたりきりの小宇宙で、千年、万年と生きていたいっていったら?」
「望むところだよ。俺はそれに、おはようとおやすみのキスも追加注文したいね」
「わ、わたしだって、おはようとおやすみのキスに、……ぎゅうも注文するもん」
「ちっさなオーダーだね。俺は頭なでなでもトッピングする」
「わ、わたしだって——」
「そこでさらに、かわいいフレーバー嗅ぎ放題も注文する」
「なっ……!」
ああもう、顔が熱い。なんでそう急にとんでも発言してくるかな……。
「そ、それはだめ……!」
「いや、注文するよ」
「それだけはだめ……! お、お断りします……‼︎」



