「次にジョナス、婚約を認めてくれれば、マデリンだけじゃなく、その家族の平和と幸せをも約束するといってみる」
「たしかに必死だね……」
「そこで食いついたのがマデリンパパだよ。娘をこの紳士にやれば、自分たちまでもが安全で幸せな日々を送れる。ジョナスはマデリンパパに、神様みたいに映った」
「パパ……! なんてこと……」
そんな突然現れた男の人と娘を結婚させようだなんて。
「マデリンも紺谷とまったく同じ反応だったよ」と雪森くんは笑う。
「そこでマデリンの頭に浮かんだのは、母親のこと。マデリンは母さんが大好きなんだ。それほど裕福な家庭じゃないにもかかわらず、自分のほしいものを全部与えてくれた母さんには、いつか、どうにかして恩返しをしたいと思ってたんだ」
「うーん……」
「そして目の前には、自分の家族に平和と安全を約束してくれる男がいる。マデリンにとっても、その言葉は魅力的だったんだ。それでマデリン、ジョナスとの結婚を受け入れる」
「そんな簡単に……⁉︎」
マデリンは結婚をするつもりなんてなかったのに……。
ああでも、恋愛を諦めていたというだけで、少しはやっぱり憧れも残ってたのかな……。
「ただし、マデリンだって見ず知らずの男に自分の人生を捧げるような人じゃない。結婚後は自分の家、つまり、ジョナスとの結婚に対して、マデリン家族と一緒に暮らすことを条件とした。これでふたりで暮らすなんてことになれば、自分は家族を捨てるようなものだと思ったんだ、マデリンは」
「いい人だね、マデリン……。家族思い」
「ジョナスは快くそれを受け入れた。ヴァーノン家を残せることの代償にしては、あんまりに安いと思ったんだ」
「そうだよね、この結婚自体、ジョナスのわがままで取り決められたことだもんね」
雪森くんは机の上に肘を立てて、手で頭を支えた。楽しそうに、おだやかに笑っている。
「紺谷はジョナスが嫌い?」
「嫌いっていうか……ちょっと強引な人かなって……」
「マデリンもそう思ってた」
「実際には違うの?」
「自分のわがままに付き合わせてるんだから……っていわれちゃったらそれまでだけどね」
わたしは黙って、雪森くんの話のつづきを待った。
「たしかに必死だね……」
「そこで食いついたのがマデリンパパだよ。娘をこの紳士にやれば、自分たちまでもが安全で幸せな日々を送れる。ジョナスはマデリンパパに、神様みたいに映った」
「パパ……! なんてこと……」
そんな突然現れた男の人と娘を結婚させようだなんて。
「マデリンも紺谷とまったく同じ反応だったよ」と雪森くんは笑う。
「そこでマデリンの頭に浮かんだのは、母親のこと。マデリンは母さんが大好きなんだ。それほど裕福な家庭じゃないにもかかわらず、自分のほしいものを全部与えてくれた母さんには、いつか、どうにかして恩返しをしたいと思ってたんだ」
「うーん……」
「そして目の前には、自分の家族に平和と安全を約束してくれる男がいる。マデリンにとっても、その言葉は魅力的だったんだ。それでマデリン、ジョナスとの結婚を受け入れる」
「そんな簡単に……⁉︎」
マデリンは結婚をするつもりなんてなかったのに……。
ああでも、恋愛を諦めていたというだけで、少しはやっぱり憧れも残ってたのかな……。
「ただし、マデリンだって見ず知らずの男に自分の人生を捧げるような人じゃない。結婚後は自分の家、つまり、ジョナスとの結婚に対して、マデリン家族と一緒に暮らすことを条件とした。これでふたりで暮らすなんてことになれば、自分は家族を捨てるようなものだと思ったんだ、マデリンは」
「いい人だね、マデリン……。家族思い」
「ジョナスは快くそれを受け入れた。ヴァーノン家を残せることの代償にしては、あんまりに安いと思ったんだ」
「そうだよね、この結婚自体、ジョナスのわがままで取り決められたことだもんね」
雪森くんは机の上に肘を立てて、手で頭を支えた。楽しそうに、おだやかに笑っている。
「紺谷はジョナスが嫌い?」
「嫌いっていうか……ちょっと強引な人かなって……」
「マデリンもそう思ってた」
「実際には違うの?」
「自分のわがままに付き合わせてるんだから……っていわれちゃったらそれまでだけどね」
わたしは黙って、雪森くんの話のつづきを待った。



